糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、
誰もがかかる可能性のある病気です。
早期に発見し、的確な治療を行うことで
普段の生活にあまり支障を出さずに過ごすことが可能です。

生活習慣病

生活習慣病は誰でもかかる可能性がある病気です。かなり進行するまで自覚症状がないことが多く、長い期間をかけて少しずつ、自分でも気づかない間に病気が進行していきます。
進行していくと深刻な合併症をともなうことがあるため、いっしょにしっかりコントロールしていきましょう。

生活習慣病とは

生活習慣病という名前の通り、普段の生活習慣によってかかる病気です。そのため、「かかってしまったら一生お薬を飲み続けないといけない」と思いこんでいる患者さまも多いのですが、的確な治療できめ細かくコントロールし、生活習慣をできる範囲で改善していくことで、お薬を飲まずにすむようになることも珍しくありません。
はやしクリニックではかかりつけ医として、さまざまなアプローチをご提案し、患者さまを全力でサポートしてまいります。

それぞれの生活習慣病について

それぞれの生活習慣病について

生活習慣病は、できる範囲で生活を改善していくことが治療に大きく役立ちます。そのため、病気や原因について患者さまが正しい知識を持たれることがとても大切です。
そこで、生活習慣病の中でも患者さまが多い「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」についてここでご説明し、理解の一助にしていただけたらと思っています。

糖尿病について

糖尿病とは?

糖尿病とは?

糖尿病は、体の代謝機能がうまく働かなくなる病気で、インスリン不足により引き起こされます。
尿に糖が出ることから「糖尿病」と名付けられましたが、これは血液中のブドウ糖が増えすぎて尿の中に糖が溢れてきた状態であり、実際には血液中のブドウ糖の量(血糖値)をもとに診断します。

インスリンは膵〈すい〉臓で作り出されるホルモンです。これは、細胞が血液の中からブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用するのを助ける働きを持っています。インスリンの作用が不足すると、ブドウ糖を利用できなくなって、血液中のブドウ糖濃度「血糖値」が高くなります。これを高血糖と言います。その高血糖状態が継続するのが糖尿病です。

インスリンの作用不足には、2つの原因があります。1つは、膵臓のインスリンを作り出す(インスリン分泌)能力が低下してしまう場合。もう1つは、インスリンに対する細胞の感受性が悪くなることです。

糖尿病の種類

糖尿病は通常、「1型糖尿病」「2型糖尿病」2種類に分けられています。

1型糖尿病

膵臓にはβ細胞というインスリンを作る細胞がありますが、これが破壊されます。そのため、身体全体のインスリン量が足りなくなってしまいます。
このケースは、ほとんどが自己免疫疾患やウイルス感染などによって突発的に発病します。自己免疫疾患は、免疫機能という外から身体に侵入しようとする病原菌などを無力化するための機能が、自分の身体に対して作用してしまう病気です。
小児や若年層に発病することが多いのですが、成人になってから徐々にβ細胞が破壊される場合もあります。

2型糖尿病

2型糖尿病は、日本で圧倒的に多いタイプです。食事や運動など、生活習慣が関係しているケースがほとんどです。
2型糖尿病には2種類のタイプがあります。ひとつはインスリンの出る量が少なくなることから起こるもの、そしてもうひとつは肝臓や筋肉などの細胞がインスリンの作用をあまり感じなくなることからブドウ糖を取り入れることがうまくできなくなって起こるものです。
これ以外にも糖尿病は、他の病気が原因となるもの、遺伝子の異常、そして妊娠中に発見されるものなどがあります。

糖尿病による症状

糖尿病の症状は気付きにくく、多少血糖値が高いくらいでは全く症状がないケースがほとんどです。
食物の摂りすぎなど血糖値が高い状態を5年・10年・20年と長年続けると、糖尿病は各機能に障害を与えていきます。特に冒されやすいのは、神経と血管を中心とした臓器です。そのため、神経障害、眼球の網膜が障害される網膜症、腎臓の機能が低下する腎症の3つが起こりやすくなっています。これを三大合併症と呼んでいます。

糖尿病神経障害

全身の神経の働きが鈍って、さまざまな症状が現れます。主な症状は手足のしびれ、麻痺感覚、筋肉の萎縮、筋力の低下、胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、勃起障害などです。さまざまな自律神経障害の症状も現れます。

糖尿病網膜症

目の底にある網膜という部分の血管にダメージが起こり、視力が弱まります。中には失明することもあります。また、白内障になるケースも多いと言われています。進行してかなりひどい視覚障害に至る直前まで症状がないことも少なくありません。

糖尿病腎症

腎臓の糸球体という部分がおしっこを作っています。ここの毛細血管が悪くなって、次第におしっこを作ることができなくなります。
こうなったら、人工透析をする必要があります。人工透析は、機械によって血液の不要な成分をろ過しておしっこを作る治療で、週に2~3回、病院などで受けなければなりません。そのため日常生活に大きな影響を及ぼします。
糖尿病腎症は現在、人工透析を受けることになった原因の第の1位です。

治療方法

糖尿病は患者さまによってさまざまな治療方法があります。当院では、患者さまの状態によって適切な治療・指導を行っています。
また、合併症として起こりやすい白内障、網膜症などに関しては併設した眼科と連携して治療に当たります。

糖尿病は日々の健康管理や定期的な健康診断などを心がけることがとても重要です。ちょっとした生活改善で効果を得る場合もありますので、ご不安がありましたらお気軽にご相談ください。

高血圧について

高血圧症とは

高血圧症とは

全身に酸素と栄養を届ける血液は、ポンプとして働く心臓によって全身に送り出されています。送り出される時、血液によって血管にかかる圧力が「血圧」です。
高血圧は、血圧が基準値よりも高くなる病気で、心臓から送り出される血液の量が多くなったり、血管が細く狭くなり血液の流れが悪くなったりすることで起こります。
血管にいちばん強く圧力がかかるのは、心臓が収縮して血液を押し出した瞬間です。この時の血圧が収縮期血圧(最高血圧)です。そして、圧力がいちばん低くなるのは、収縮した後に心臓がひろがる(拡張する)時で、この時の血圧を拡張期血圧(最低血圧)と言います。この収縮期血圧と拡張期血圧は、どちらが高くても高血圧です。

血圧の分類(高血圧治療ガイドライン2014年版)

成人における血圧値の分類(mmHg)
分類収縮期血圧拡張期血圧
至適血圧 ‹120 かつ ‹80
正常血圧 120-129 かつ/または 80-84
正常高値血圧 130-139 かつ/または 85 - 89
I度高血圧 140 - 159 かつ/または 90 - 99
II度高血圧 160 - 179 かつ/または 100 - 109
III度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110
収縮期高血圧 ≧140 かつ ‹90

高血圧は、収縮期血圧が140以上、または拡張期血圧が90以上で、その状態が一時的なものではなく保たれた状態を指します。
高血圧は全身の血管に大きな負担をかけます。そのため、全身のさまざまな場所の血管に障害が起こり、合併症を引き起こす危険性も高まります。

高血圧症の種類

高血圧症は、原因により大きく2つに分けられます。原因がよくわからない「本態性高血圧症」と、原因が明らかな「二次性高血圧症」です。

本態性高血圧症

一次性高血圧とも呼ばれています。血圧が高くなる他の病気やホルモンの異常などがない高血圧のことで、日本のでは高血圧症のおよそ9割がこのタイプです。本態性高血圧が起こる原因は、遺伝的な要素や生活習慣が関係していると考えられていますが、はっきり分かっていません。

二次性高血圧症

他の病気などが原因となって起こる高血圧です。日本の高血圧の1割程度がこのタイプです。二次性高血圧を引き起こす原因としては、腎臓の病気、ホルモンの異常、動脈の障害などがあります。原因となる病気を治療することで、多くの場合、高血圧も改善します。

高血圧症の症状

高血圧症による自覚症状はほとんどありませんが、人によっては、肩こりや頭痛、めまい、動悸、息切れ、むくみなどを感じることもあります。ただし、こうした症状は必ず現れるわけではないので、高血圧の目安とはなりません。症状を感じなくても、血圧が基準値よりも高ければ高血圧と診断されますので、定期的な血圧測定が重要になってきます。

高血圧が持続すると、強い圧力の血流により血管内皮に障害が起こります。この障害に対する修復過程で粥腫(アテローム)が形成されますが、これが動脈硬化の原因となります。高血圧によって生じる動脈硬化の結果、脳血管障害・心臓疾患・腎臓疾患・血管疾患などの合併症を引き起こす可能性があります。

高血圧でリスクが高まる合併症

高血圧症の検査

診察室血圧

病院・診療所などで測った血圧を、診察室血圧と呼びます。ご家庭など、リラックスした状態で測った血圧よりもやや高めになることが多く、なかには白衣高血圧といって、診察室血圧が異常に高くなってしまう方もいらっしゃいます。

家庭血圧

家庭血圧は、ご家庭などリラックスできる場所で測った血圧のことで、いくつかの条件があります。朝は起床後1時間以内、排尿後で、座位1~2分の安静後、降圧薬服用前、朝食前に測ります。夜の場合は、就寝前、座位1~2分の安静後に測ります。この家庭血圧は、診察室血圧よりも低い値を示すことが多いので、家庭血圧の高血圧基準は、診察室血圧より5mmHgほど低く定められています。

家庭血圧をこまめに測定、記録していくことで、血圧の日内変動を知ることができます。それによって、白衣高血圧などの診断や、治療薬の効果の判定を行うことが可能です。そのため、高血圧を治療する時には、家庭血圧を把握することをおすすめしています。

24時間自由行動下血圧測定(ABPM)

これは、自動血圧計を体につけ、15~30分ごとに血圧を測ったものです。この平均値が収縮期血圧130mmHg以上/拡張期血圧80mmHg以上の場合に、高血圧として対処することになっています。

24時間自由行動下血圧測定(ABPM)をみると、普段の生活における血圧の日内変動が分かります。そのため、診察室血圧や家庭血圧をみるだけでは分かりにくい高血圧(白衣高血圧、早朝高血圧、夜間高血圧など)を見つけやすいという利点があります。

高血圧症の治療

「食事療法」「運動療法」「薬物療法」。この3つが高血圧治療の中心です。

高血圧治療を受ける患者さんが最初に取り組むのは、「食事療法」と「運動療法」です。この2つは長期に渡って続けていく治療の基本になります。お薬による治療は、その他の病気がある場合や、生活習慣の改善を行っても血圧調整が難しいケースで行います。

「血圧の薬を飲み始めたら一生飲み続けなければならない」そう思っている患者さんが多く、こうした質問をよくいただきますが、お薬を卒業することも可能です。定期的に診察を受けて、主治医の指導通りに治療に取り組むことで血圧を適性な値まで下げること、そしてその状態を保っていって、お薬の量を減らしたり、お薬から卒業することができるケースも多いのです。

当クリニックでは高血圧症の治療に、高血圧について十分な知識を患者さんに持っていただき、生活習慣改善に気長に根気よく取り組んで適正な血圧を維持することができるよう、いっしょに考えていきます。また、行っています。また、患者さんの状態によって元気な生活を長く続けていくことができるよう、適切な治療・指導を行います。高血圧症やその治療についてご不安などございましたら、ご相談ください。

脂質異常症について

脂質異常症とは

脂質異常症(高脂血症)とは

HDLコレステロールは、肝臓に戻る途中のコレステロールで、組織に余っていたコレステロールがHDLに回収されたものです。HDLコレステロールの値が低いのは、血管の壁にたまったコレステロールを引き抜いて肝臓に戻すことができなくなっている状態で、動脈硬化が進みやすくなります。

使いきれずに余った食事からのエネルギーは、肝臓で中性脂肪(トリグリセライド)に変わります。血液中の中性脂肪の量が増え、血液中を移動して皮下脂肪や内臓脂肪に蓄えられますが、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などでエネルギーがたくさん余ると、高トリグリセライド(中性脂肪)血症が引き起こされます。中性脂肪が高くても、動脈硬化が進みやすくなるのは、コレステロールと同様です。

脂質異常症の症状

自覚症状はほとんどなく、放置すると血管の動脈硬化が少しずつ進んでいきます。その結果、脳血管障害・心臓疾患・腎臓疾患・血管疾患などの合併症を引き起こします。

脂質異常症でリスクが高まる合併症

脂質異常症の検査

検査では、血液中のLDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)を測定します。その診断基準は、以下の通りで、いずれか1つでも該当すれば脂質異常症と診断されます。

脂質異常症の診断基準(空腹時採血)
高LDLコレステロール血症 140mg / dL以上
低HDLコレステロール血症 40mg / dL未満
高トリグリセライド血症 150mg / dL以上

脂質異常症の治療

脂質異常症は、食事や運動などの生活習慣が深く関係していることが多いため、脂質異常症の治療の基本は「食事療法」と「運動療法」です。この2つの治療法は、長く続けていく必要があります。そして、食事療法と運動療法で脂質が改善しない場合、すでに動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞などの発作を起こしている場合などにお薬による治療が行われます。

元気な生活を長く続けていくためには、脂質異常症について十分な知識を持って、脂質の正常値を維持する目的で生活習慣改善に気長に根気よく取り組んでいくことが大切です。当クリニックでは、できることをいっしょに考えながら、患者さんの状態によって適切な治療・指導を行っています。ご不明な点などございましたら、お気軽にご相談ください。